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2010.10.13 / 自分が一番楽しい自宅企画。
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大規模戦闘イベントネタSS三つ。

ルッツさんをなんとなくと、
ゼノさんのお名前、シドーニエさん、グイードさんのお名前をお借り致しました。

読んでやるぜ!という方は、続きからどうぞ。





【ウィル&ボレロ】


「撤収命令が出たのに戻って来ないと思ったら……」

ボレロは、立ち尽くすウィルにそう声をかけた。
いつもと変わらずのんびりと響いたが、語りかけられた背中はビクリと震える。

「……俺、……」

「生かしておくのは、殺すよりずっと難しいんだよ」

変わらない声。
変わらない口調。
変わらない落ち着き。
思わずウィルが振り返ると、サングラスの奥、鋭く細められた眼と視線がかち合った。

「……っ……」

「ハンスじゃ、確実なみねうちなんて出来ないでしょ。殺したくない? 殺されたくない? ……戦いたくない? ちょーっと実力不足だよねぇ、ウィルフリード」

何も変わらない、のに、眼は強く語りかけ、言葉は深く突き刺さる。
俯き、ぎゅっと拳を握りしめたウィルの視界に、「殺したくなかった」「守るべきはずの」国民が映った。

「……で、結果は結局これでしょう?」

そう。
ウィルが殺さなかった彼等に、ウィルは殺されかけた。
己の甘さが招いた結果に気付くより先にウィルを救ったのは、目の前の上司が操る炎。

「……本当に、君は若いよね~」

「…………」

反論出来ずに、じっと……律儀に耳を傾けるウィルに、ボレロはふうとため息をついた。

「……まぁ、君がどうしようと君の勝手だし……好きにするといいさ」

「! ……ボレロさん……?」

「とりあえず死なないように、出来るだけ足掻いてみてもいいんじゃない、ってこと。……フォローはあんまり期待しないでね~」

それは、あまりに分かりづらいGOサインで。
可能な限りサポートをするから、という応援の言葉。

「……あ……ありがとうございます…っ!!」

「……お礼なんて言わない方がいいよ」

本当に君の為を思うなら、止めるべきなんだから。
そう呟いたボレロは、頭を掻いて小さく笑った。



(まっすぐな部下とぐうたら上司)
(終り方が凄く不完全燃焼)




【ハーディ】


こんなところで、ここまでの規模の戦闘が起きるとは。
5年前の悪夢の再来とまではいかずとも、それに準じる戦いであることに間違いはなさそうだ。。

俺は、久々に戻ってくることが出来た自室のベッドに身を沈めた。
繰り返し進撃してくる敵を退けたのはこれで幾度目だろうか。
……否、俺はなにもしてはいない。
功績だけはいくつか拾わせてもらったが。
口の端から漏れた自嘲を皮ぎりに、思考はとりとめもなく流れ出した。
ダメだ、考えるな。

王国騎士達が向かった先。
幸い愛すべき故郷からは外れていたが、そう遠くはない場所だった。
老いた父は、母は、家を背負った弟は無事だろうか。

また、部下が死んだ。
相打ちになった敵は、小物とはいえ小隊長クラスの者だった。
嗚呼、彼の功績に感謝しよう。
何一つ償いもできずに、謝罪など出来る筈もない。

「……ぅ、」

見殺しにした者が何人いただろう。
俺程度で出来ることなどたかが知れてはいるだろう。
しかし、ならば見捨てるのは正当か?
――正当である必要などないんだ。
俺は生きて、生きて弟たちを。
……言い訳に、しているだけ、なのではないのか。

「ぅぐ…は、……!!」

だ  め だ

発作。
笑えないタイミング。
敵が一時撤退しているとはいえ、いつまた戦闘状態になるかも分からないのに。
薬、と思って、つい先日飲み切ったのだと思い出す。
取りに行く?
そんなことは出来ない。
何も言わずに渡してくれる彼だけならまだしも、今の状況下医務室に彼一人など有り得ない。

無駄に跳ねる身体が悲鳴をあげる。
頭がいたい。
いきができない。
いたい。
くるしい。
……なに、が。

どうせ、数時間にも満たない短い時間 。
苦痛というのもおこがましいような。
罰にも似た、ただの弱さの象徴。

「……っハァ、……ははっ……」

嗚呼。

こうして一人悶え苦しむのが、俺には似合いなのだろう。



(とある高慢で勝手な貴族)
(数時間後には、人を見下しながら歩く)






【ミュゼット】


聞き慣れた重いものを引きずる音に、ミュゼットは顔をあげた。

「……あ」

思わず声を漏らした後、わなわなと震えた彼はすぐ隣に居た女性に向き直った。

「ちょっとおおおぉシドちゃんどうしよっ!!! ゼノっち行っちゃったよしかも何人かついてっちゃったんですけどおぉぉ!!!!!」

大声を事前に予期し耳を塞いでいたシドーニエは、はいはい、とミュゼットをいなす。
そして、机に広がる地図に目を落としたまま、聞きな、と続けた。

「敵国兵士が行っちまったって時点で有り得たコトだろう? ったく、その為の配置だってのに……」

「うお? あー……あ、なーる。ほんとだ」

同じく地図に見入った大男の垂れた目が僅かに細められ、口は弧を描く。
――知恵のあるケモノの横顔。

「つーことは、だ。おれっちはひとっ走りぐっちゃんのとこまで指示の変更伝えに行ってくんな!!」

ばっと顔を上げ、ミュゼットは自信満々に告げる。

「そうしとくれ。そのままグイードの中隊動かすの手伝ってきな。アタシは此処から指示飛ばさせて貰うよ」

不適に微笑んだ女は、相棒のズバットの頭を軽く撫でた。

月の名を冠するケダモノ達が再び動き出す。
すべてを蹴散らしアルティテュードに帰還するまで、あと僅か。



(二人の軍師)
(このケダモノ達の手綱を握るのは、楽じゃない!)




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気が赴くままに書いていたら良く分からない感じのものが出来ました。
日月さん、黒宮さん、きりん。さん、お子様をお貸しくださいまして有難うございました!

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