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2010.10.13 / 自分が一番楽しい自宅企画。
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大規模戦闘イベントのウィルの話【これ】の続き。
ボレロ視点とウィル視点が入り混じって酷く読み辛い、ウィルの初恋の話。

隼水さん宅ハーマタンさん、鉱さん宅テキーラさんをお借りいたしました。







おれは優しくない。

20121119-1.jpg


「ハーマタン、殺していいよ」

わかっていたことだけど、ハンスが殺したくないと願いそれを実行すれば彼も迷う。
相手が敵国の兵士だろうが、自国の反乱民だろうが、それは酷いハンデだ。
本来きみに、おれたちに、そんな余裕はないんだよ。
殺さずに確実に動きを止めるなんて面倒で神経を使うことをいちいちしてたら身がもたない。

ハンスが勝手にそうすることを、おれは許した。
出来るだけフォローしようとは思うし、最悪それで死ぬのは、まあきみの勝手。
でも、それに引きずられて死ななくてもいいはずの誰かが死ぬのはいただけないよね?
おれの台詞にハンスは一瞬唇を噛んだ。
ハーマタンはチラリとウィルを気にしながらも口を開く。

「……でも、ウィルは」

20121119-2.jpg


「まあ、おれはどっちでもいいんだけどね」

殺すか殺さないか。
それを決めるのはきみたちなんだから。

俺達の会話が聞えているのかいないのか、後ろでテキーラが敵の頭部を砕く音がした。
彼が一番利口だよ。



それでも、上司として、おれはきちんと教えてやるべきだったのかもしれない。


相手が人間であるということは
当然きみを騙し、裏切り、欺こうとする者がいるということ
逆にきみの青い言葉に耳を傾けてしまう者がいるかもしれないということ
20121119-3.jpg

しかし、その青い言葉は 相手の大半には理解されることはない
20121119-4.jpg


つまりそれは、きみと心を通わせてしまった人を孤立させるか、或いは……



きみの知る 「一人の人間」を 敵とするしかなくなってしまうということ




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俺の言葉は届かないんだと思った。
戦わなきゃいけない。
立ちはだかる敵だと言われたその人たちは国民だけど、でも。

「俺は生きる為に敵国と戦う事を選んだけど」

20121119-5.jpg

「あいつらは生きる為に国と戦う事を選んだだけだ」

テキーラが言った言葉に、迷いはなくて。
戦うことを決めてしまった彼らに、俺の言葉はもう届かない。

それでも、諦めたくなかったんだ。
少しでも戦わなくて済む方法があるなら。
一人でも言葉を聞いてくれる人がいるなら。

どうにかなる、どうにかできる糸口になるんだって、そう、思ったんだ。


戦いは嫌だと嘆いていた。
(なんで、こんなことになっちゃったんだろう)



もっと他に方法があるはずなんだと。

20121119-6.JPG
(暴力で血を流すのは国じゃなくて、あなたみたいな騎士じゃない)


もう一度説得してみるから、と。
(お父さんに、ちゃんと話してみるね!)

20121119-7.jpg

それが希望だと思ったのを。

何かあったら俺が守るから、なんて言ってしまったのを。


20121119-8.jpg





間違いだなんて思いたくないのに。






(騎士になっていつか国を、家族を護りたくて)
(ずっと剣の練習をしていたの)




そう笑った君が。






20121119-9.JPG




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「テキーラ、ハンスは放っておいていい。あっち頼むよ」

呆けているウィルの元へ走ろうとしたテキーラを制する。
は、とこちらを見てから、チッと小さく舌打ちをして指示に従う彼の背をしばらく目で追い、
もう一度視線を彼らへと移す。

あぁ、ひどいものだね。

トットッと軽い足音を立てて近付いても、おれに気付くのはハーマタンだけ。

おれも、少しだけ信じてみたかったんだけどな。

こうなってしまったなら、これは少し手酷いお勉強だよ。
見習い時代、指導教官にも散々教えてもらったでしょ?
これが戦い。これが人。
今まで学んできたこととなんら変わらない、人殺しの一環。

「おれたちは周りを少し静かにさせようか、ハーマタン」

戸惑うような視線に笑って返すと、迷いながらも異国の青年は軽やかに動き出す。
残念ながらこの人数だ。
殺さず一人ひとりの動きを封じるなんて神業、おれだって出来やしない。


ねえ、ハンス。
ウィルフリード・ハンス。


疲れたなら、頑張らなくてもいいんだよ?




……なんて言いながら、きみなら頑張っちゃうんだろうなと思うおれは、やっぱり酷い。




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「ごめん」


何に対して謝ってるんだろう

殺してごめん?

助けられなくてごめん?

そんな馬鹿な話ってないよ。

俺は、何がしたかったんだっけ。

助けたかっただけなんだ。

兄の面影を追ってただけなんだ。

なにも わかってなかったんだ。

シャレオさんが何度も教えてくれたのに。

ひとをころすということ。

相手が人だということ。

戦いがいつも、俺が望む守るための戦いである保証なんてないということ。

それでもこの道を進むんだと、理想を現実にするんだと、足掻き続けるのだということ。



だけど




20121119-10.JPG









涙が 止まらない


(ウィルのはつこいのはなし)
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