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意識を失う瞬間。


口の中で「名ァ返す」と呟いた。






騒がしい。
うっせえ。
黙れ。

――――何が、だよ。

抵抗する目蓋を無理やりこじ開けると同時に全身が軋んだ。
喚こうにも動こうにも言う事を聞きやしねェコイツは、鉛じゃァなくオレの身体らしい。
生きてやがんのか、オレァ。


……オレが倒れるっつーこと。
それァオレが死ぬっつーこと、だろ。


スエはどうした。
他の野郎は。
あの怪我で何もしねーでいりゃ、死ぬだろ。


何がどうしてオレが生きて此処に居るのか、何一つ繋がりやしねェ。


ただ一つ、分かるのは。


「……返し損ねた」


音にすらならねえ言葉をアイツに向けて。


オレが死んで笑う奴らをあざ笑う為に、ひとまず鉛を強引に引きずり起こすことにした。

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目の前にいるのは、なんだろうか。



どれだけ憎んでも呪っても腕を伸ばしでも、届かなかった。
その筈の、奴が。
自らの身体から溢れだした朱に染まっていた。

常に他者を見下す目は閉じられ、
傲慢な言葉を吐く口から漏れるのは今にも途切れそうな呼吸で、
嵐のような激情と自信に満ちていた身体は、見下して来た筈の他者に支えられ。


……これは、誰だ？


知っている筈の疑問から抜け出す前に、背後から迫る敵の気配。
フィデルがこちらの様子を伺うのが分かった。


『団長ーーーっ！！！！』


知っているのだ。
僕は、見ていたのだから。



◆



厄介な相手。
それが、上空から戦場を一目見た瞬間からの正直な感想だ。
敵の中心は魔法の使い手…それもかなりの高位魔術師。
詠唱自体はそう早くないものの、周囲の守りが固くフィデルでも回りこむことが出来ない。
相手の陣形の取り方が上手いのもあれば、
今回陰兎の手勢が二か所に分かれている状況もあるのだろう。
一人ひとりの能力が高くとも、数の上での圧倒的不利に押されていることは否めなかった。
目の前の獣騎士を槍で薙ぎ払い、再び急降下をしかけたが矢張り届かない。

「フィデル、無理はしなくて良い…引こう」

再び上空に上がる。と、そこで目の端に映った物があった。
――陰兎騎士団団長、コハク。
一直線に向かう先が彼の魔術師であることは疑いようがない。
確かにあの魔術師一人片付けてしまえば戦況は大きく変わる。
だが、この手勢の中、一人で乗りこもうと言うのか？
――いや、一人ではない。
そのすぐ後ろについて走っているのはダスメーア君だろう。
しかし、間に合わない。

魔術師は奴に狙いを定め詠唱を始めていた。
……僕がここから少しでも妨害行為をすれば、止められるかもしれない。
けれど。

――このまま奴が、死んでくれれば。

戦うことも忘れて、僕はただただその様子を見ていた。
奴が近付く。
それについて行く彼が、周囲の敵を蹴散らしながら追いかける。
魔力が集中していく。

そして光が、視界を覆った。

咄嗟に、フィデルに指示を出していた。
魔法によって起きた暴風に任せ一気に後方まで舞い戻る。

奴は。
魔術師を貫いていた。
しかし、その足は大地を踏みしめてはいなかった。

崩れ落ちた魔術師に息がないことは確実だったが、奴にはまだ辛うじて意識があるようで。
錯乱しかけた彼を止めた、ように見えた。
それでも限界だったらしく、全身を真っ赤に染めたままずるずると地面に膝を、手を着いて。

奴の周りに人が集まっていく。
フィデルは、僕は、動かない。動けない。

奴は……あれは、なんだ？



◆



後方に運ばれつつある奴が、僕の目の前を通過して行く。
全身を覆う朱は全身にある裂傷から噴き出している血以外のなにものでもなくて。
それは、僕は初めて見る奴の血だった。

奴を運ぶ者、退路を作る者、追手を食い止める者。
奴を生かすために動く彼らは、一体なんだというのだろう。

気付けば、軋むほどに槍を握りしめていた。

殺せる。
今なら、殺せる。
その後に無事でいる必要なんてない。
僕にはそれしか、ないのだから。

けれど。

フィデルが僕を伺った。
僕は、そっとフィデルを撫でた。

「――行こう」

慣れた浮遊感に身を任せた。
フィデルは、風を切って真っすぐに奴の方へ向かう。
僕の接近に気付いた団員が、一瞬眉を顰める様子まで、何故かはっきりと見えて。


僕たちは、奴を殺そうと迫りくる獣騎士の前に立ちはだかった。


「死なせ、られないんだ……」

これは僕自身のこれまでの全てへの裏切り。
それでもフィデルは、動いてくれた。


それは――僕が望んだからなのだろう。





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というわけでコハクが大怪我してちょっとスエが迷う話でした。

左：シャーリの格好は、多分、教会飛び出して「普通の格好しなくてはなりませんわ！」とか思って服屋さんに行って、店員さんとかに「これなんかいかがですかー」とか言われてそこそこ可愛くて何より安くて買ったものだと思われ。
彼女は実はかなりの倹約家。
足が出てるとか方が出てるとか脇が（ｒｙ）とか、本人あんまり気にしてないというか自分の格好や行動が相手にどういう影響与えるとか解ってないし考えてない←
やらしい目で見る人がいると大体ベックが睨みを効かせてくれるし最近は心配して下さる方もいるから大丈夫！

右：メイド服を着せてみようぜ★　かしこまった格好や他の人から勧められたりした「可愛い」格好をするのには照れがあるらしいです。

右下：多分対ルティさん仕様。ちょっとくらい認めてくれたって良いじゃありませんの…！って思ってから自分でどうしてそんなふうに思うのか分からず？？ってなる←　多分、男性相手としては有り得ないくらい近い距離で下から見上げるんだと思う、無意識に。


見て下さって有難うございましたー！

まず着ない、けど、一応団長だし！ということで着せてみました。
完全に服に着られている。















まあ、滅多にというかほぼ着ないんですけどね！
数年に一回団長としてどうしても逃げられない何かがあるとこうなります←

スエ落書き。アルマさんをちょこっとお借りしました。
スエは…こう、儚く幸薄く！
を心がけつつほんのちょっと線が細い男性特有の色気を目指してます←

----------- ここからスエ未来妄想 -----------
コハク大怪我ネタの後、彼へ復讐からほんのちょっと足を踏み出して。
……それから3年程の内に、フィデルが亡くなります。
幼い時、生まれてからスエに拾われるまでの環境があまりにも悪かったこと。
恐らくは身体が成長しきっていない頃から無茶を続けていたこと。
陰兎に入ってから、恐らくは、無理を続けてきたであろうこと。
色々な事が重なって。
スエは、フィデルが逝っても泣かない。泣けない。
ただ、お墓だけは、誰にも手伝わせないで自分で作ります。

フィデルが亡くなってから数ヵ月後、今度はスエが大怪我を負います。
スエは、フィデルがいてようやくしっかり戦える人だったから、
一人で戦場に立ってずっと無事でいられることはきっとない。
騎士団員として復帰が不可能になって。

そうして、彼は街に下ります。
彼自身の意志で、薬を扱う小さなお店を開いて。
それから生涯、平穏に暮らして欲しい。
------------------ ここまで ----------------------
















シャーリ落書き。
彼女には笑顔が良く似合う。
…けど、表情が豊かだから色んな表情させたくなるよね！←

-------------- シャーリ妄想ここから --------------
出身教会が壊滅、とか。ありそうだなと思います。
半ば家出のようにして飛び出して来たからなかなか連絡取れなくて。
でも「自分は騎士団で自分の意志に従って生きてる」ってことを伝えたくて教会に行ったら、ない。
紛争に巻き込まれて破壊され、教会内の人はほとんど亡くなったと、生き残りも何処にいるかわからないという噂だけが聞えて来て。
シャーリは根っこが強いから、動揺はしても崩れません。
「自分が居なかったせいで何も出来なかったせいで」
とも、一瞬考えるけれどそれは違うと自分で思えます。
彼女が騎士団の中で助けた命は本当だと思ってるから。
ただ、どうしても悲しくて悔しくて寂しくて。
ぐらついて、ぐらついたときヤナさんやルティアさんが隣にいてくれて。
それだけでちょっと落ち着いて、しばらくしたらちゃんと立てる。
シャーリは、多分ｔｄｃ子の中で一番強いよ。
---------------- ここまで ---------------------















コハクが　書類仕事を　している！▽
タルフィさんをお借りしました。多分、全面的に読んで貰っています。

---------- コハク未来妄想ここから ------------
コハクはまあ、近いうちに大怪我は確定なんですが←

意外とネガティブなんですね、コハク。
祜白と宥（本名）と強さと逃げと陰兎とごちゃごちゃになって不安定になったりもする。
でもまあその辺何とか乗り越えて開き直って（苦笑）。
この年齢にしてはしぶとく『陰兎騎士団団長コハク』で有り続けます。

それでも、10年後くらいに戦闘でミスが出る。
或いは、初めて誰かを庇ったのかもしれない。
……大怪我（右腕欠損）を負います。
…そこらの騎士に劣ることはなくても（願望）『陰兎で最も強い存在』ではいられません。
力で陰兎をまとめあげてきたと（少なくとも本人は）思ってきたコハクは、
そうなってしまえばもう団長を続けることは出来ません。
団長を譲って、コハクの音を、名を返して宥になる。
宥の居場所は陰兎ではない。
……けれど、今更離れるには、大事になり過ぎていて。
彼なりに考えた結果：陰兎騎士団の墓守←
ただ、力で押さえ付けていた人から今までの鬱憤晴らしを受けたりで、
墓よりも自分の身を守るために戦うことの方が多そうですorz

墓守になったら、団長で有る為に　『強くある』必要もそんなにない。
元からの性格とか意地もあるから急に変わることはないけど、
無駄に暴力を奮ったり力を誇示したりすることは少なくなって、多少穏やかになると思う。
------------- ここまで ---------------











 

グレール＠年末年始パーティ的な。
体中にある傷を可能な限り隠そうとしつつドレス着せたらこうなりました。

 

買い物ウィル。
ウィルはそこそこ買い物上手。
まずはお店の人と仲良くなるのが上手です。
あとは天然で「えー…ちょっと高いな」とか「うーん…」とか言って自動交渉←

ただし詐欺とかには要注意。
変なものを買わされそう、とかには気付いても、
病気の娘とか妊娠した妻がとか故郷の父がとか言われると騙されます。


……長っ！！
此処までみて下さった方（いたら）有難うございましたー！！