・3月19日
　鳳翔には、失う覚悟が足りてない。いつかそのせいで死ぬかもしれないとわかってる。彼が「父」を名乗るもうひとつの理由。『息子より先に消える存在だから』　当たり前なんだ、だから、自然に受け止めて欲しい。必要以上に、自分を責めないで欲しい。

　死ぬ覚悟、殺す覚悟、失う覚悟。うちの小隊長たちはみんな何かが足りてない。ボレロには死ぬ覚悟。ハーディには殺す覚悟。鳳翔には失う覚悟。中隊長二人は全部持ってるけど、死なず失わない最善を選べる。そしてどっかの団長には、覚悟どころか当たり前のこと過ぎる。

　平騎士たちは感覚的に理解できてない。個人的に、ウィルには「覚悟があることと、殺したくない、死にたくない、失いたくないって思うことは違う。覚悟はしてる。でも、そうならないよう努力することはやめない。それが戦うってことなんだ。」ってところまでいって欲しい。

　……ウィルがそこまで成長できるかは、わからないけど。将来的にクルゥさんのもとへ行くなら、甘さを現実を突き付けられて、ウィルなりの答えとしてそれを見つけるんだろう。……意外と長く騎士を続けるかもなあ。

　ヒューガはそこまでいけるかわかんない。ヒューガは多分、誰かを失う、見捨てる覚悟ってなかなかできないと思う。でも、理不尽にまっすぐ立ち向かう強さとか、理不尽を正す実力はちゃんとつく。そっちのが先。

・3月20日
「あら、いやだわ。」危ない、と庇おうとした次の瞬間、攻撃をひらりとかわした彼女と目が合った。ふんわり笑う手元で黒く光る魔力の塊、『シャドーボール』。俺のすぐ脇を掠めた技は、後ろから迫っていた敵をふっとばした。「まだまだね、坊や？」（ウィルとあおくもさん）

・3月23日
彼を喜ばせるのも悲しませるのも愛するのも愛されるのも、ぼくだけでいいんデス。その全部をぼくにくれたのは彼なんデスから。（知りたくないと泣いて拒んだぼくに与えたのは。）愛してる、愛していマス。もっとぼくに教えてくだサイ。求めて、満たして。まだまだ足りない。（ロラン）

・3月30日
残念だったね、サル兄。シュア兄に会えるのは俺だけ。出来損ないで役立たずの称号は綺麗に勝利の杯になる。シュア兄の言葉を一字一句違えず伝えることもできるけど、それを知るのは俺だけでいい。伝えるだけの能力がない役立たずなんだ、仕方ないだろ？（ルミエール）

ルミは記憶力が良いけどその扱いが目茶苦茶上手いわけではない。必要なことを思い出すのは完璧だけど、要らないことまで出てきたりする。嬉しかったことを思い出せば喜びが溢れてくるし、悲しかったことを思い出せばそのたび傷つく。

彼女は僕に愛してると言いマシた。彼女は泣きながら僕に爪を立てマシた。彼女は僕が憎いと言いマシた。彼女は僕を抱きしめマシた。彼女は僕の首を締めマシた。それでも彼女は僕を見て、僕を殺しマセんでした。（ロランの記憶）（電車でうとうとしたらこの辺の夢で泣くかと）

・4月4日
私の下す判断は、敵であれ味方であれ多くの人間を殺すだろう。その全てに報いるよう努め続けることが、私にできる最善なのだ。命を落とした者にしてやれることなどないのだと思う。故に赦しを請うことはせず、ただただ、前を向く。（グレール）

わかってる。理想を語るには現実はあまりに汚くて残酷で、わたしには力も気持ちも足りていないことなんて。それでも、認めてしまったら、諦めてしまったら、それ以上進むことができないから。わたしはもがき続けたい。（ヒューガ）

わたくしに出来ることがどんなにささいなことでも構いませんの。それは、きっとあなたがたには出来ないわたくしの仕事。ですから、互いに胸を張れば良いのですわ。たとえ目の前で失われる命があったとしても、わたくしが歩みを止める言い訳にはなりませんもの。（シャーリ）

そっと、優しい眠りに誘ってあげるわね。こんなおばあちゃんでもね、大切なたいせつなものを守りたいという気持ちがあるの。あと10年もしたらきっとまた会えるから、そうしたらその時には、なんのしがらみもなく一緒にお茶を飲みましょう。（あおくも）

エルね、エルね、みんながだーいすきなんだよ！ いっぱい壊れるのも楽しいし、美味しいご飯も好きなんだけど、でもみんながいるのが一番大好きなの！ だからね、みんな壊れちゃやだよ？ みんなが壊れちゃうんなら、そうならないように、エル、頑張るから。（エルシリア）

憎しみに身を任せ考えを放棄するのは、とてもとても楽だった。わかっていたんだ。敵わない「敵」を相手に自らの力の無さを嘆くことで、僕は逃げていただけなのだと。けれど、閉じていた目を開き、身を置く場所を見渡した時、結局僕に残っているものなんて――（スエ）

数十体目の脂肪の塊を引き裂いて、ようやく邪魔な奴ァ大体殺ったかと顔を上げる。空が白み始めた。さァ、盛大な祭りまであと少し。それまで精々暴れまわって散ってやろうじゃねェか。オレが作り上げた強固なアホ共が息の根を止めるなんざ最高の喜劇だろ。（最期の夜明け）（コハク）