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2010.10.13 / 自分が一番楽しい自宅企画。
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本日3記事目。ツイッタログと
ルミとシュアさんとマリーちゃんの話。

【追記ここから】
本日、王国騎士団平騎士に羽鳥鉱夜さん宅バトゥーバさんを追加いたしました!
【ここまで】


・数年前、シュアさんがヴァリアシオンからグランシディアにやってくるのの一場面。
・シュアさんがしていた研究の資料を全て焼いて逃走中。
・ルミはシュアさんのしていた研究についてのデータを全て記憶している。
・一緒にグランシディアまで行けるパターン、行けないパターン、あらゆる事態に備えた「こうするんだよ」という指示を事前に受けていた。
・一緒に行けない場合は、後々こっそりスパイ的な活動をする、という約束?
・シュアさんはルミを大切にしてくれているけれど、それが本心からきているものなのか大切にしようとして故意にそうしているのかの判断はルミにはついていない。
・シュアさんにとってマリーちゃんが本当に大切なのはわかっている。


というあたりのことだけなんとなく把握していないと、意味が分かりません。
三人称で一度、ルミ視点で同じ場面をもう一度書くという不思議仕様。
読んでやるよ!という方は続きからどうぞ。

鉱さん宅シュアラスターさん、マリーアンナさんをお借りいたしました。
書かせていただきありがとうございました。


 
「ここまでだ。それじゃあね、ルー君」
 そう言って、シュアラスターは笑った。少しも息が乱れていない彼とは対照的に、肩で息をし始めているルミエールは一つ頷く。
「ちゃんと俺が言ったことを守るんだよ?」
 こくり。再び了承の意を示した頭を軽く撫でて、天才科学者は足を止めた。共に走っていたマリーアンナもまた立ち止まり、兄妹のように育った兄を見上げる。
「ここまでご苦労さま。でも、もういいよ。君はやっぱりどうしようもない出来そこないだし、要らないから。」
 朗らかに高らかに告げられる。風が強い。けれどシュアラスターの声はその音にかき消されることはない。ルミエールを通り越し、背後に迫る追手に届いた言葉は、あと一つ。
「バイバイ」
 言葉と共に二つの影が走りだす。忠実に兄との約束を果たす末弟は、ただその背中を見送り続けた。
 
 
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「ここまでだ。それじゃあね、ルー君」
 いつ言われるか、と思っていた。いつもと同じ声。こっちを振り返った顔はやっぱりいつもと同じ表情。ごめんなさい。俺は足手まといだ。既に息が上がっている俺が全力で走り続けられるのは精々あと三十分。そうでなくても、こうなった以上どこかで追手を振り払わなければならない。あの人数と戦ったってシュア兄が負けるわけはないけれど、マリーアンナはともかく俺を守りながらではちょっと厳しい。大切にしてくれようとしているのに、ついて行けないのは俺が弱いせい、それ以外に理由はない。
『余計な怪我をさせるわけにはいかないからね』
 36時間も経っていない真新しい記憶から聞こえた言葉と今の言葉に頷くと、シュア兄はもう一度口を開いた。
「ちゃんと俺が言ったことを守るんだよ?」
 何も知らない。
 見捨てられた。
 裏切りではなく、すべてはシュア兄のため。
 俺は『俺達』の中で一番の出来そこない。父さんや兄さんたちは俺のことを全部は知らなくて、記憶するという能力、或いは忘れることができないという欠陥について理解しているのはシュア兄だけ。だからそう認識させるのはきっととても容易で、そもそも三つめは嘘ですらないただの真実だ。俺がこっちに残るのは俺のためで何よりシュア兄のため。大丈夫、全部分かってるよ。さっきよりも少しだけ大きく頷くと、走るのをやめたシュア兄が俺の頭を撫でてくれた。
 マリーが俺を見上げている。マリーはシュア兄にとって大切だから、絶対に大丈夫だ。ほんの少しの羨ましさが妬ましさに変わることはないんだろう。マリーはたくさんの『気持ち』の恩人で、血ではない繋がりをもった妹。と、シュア兄が一瞬目を細める。
「ここまでご苦労さま。でも、もういいよ。君はやっぱりどうしようもない出来そこないだし、要らないから。」
 俺を守るための言葉。マリーが小さくまたね、と手を振った。俺も、それに応えてまた、と返す。俺の声は風にかき消されてしまっただろうけれど、マリーはうんと頷き笑った。
「バイバイ」
 俺に向かってそう言ったシュアさんの方を見上げた時には、もう二人とも走りだしていて。
 
 追いついてきた彼らに捕縛されながら、その背中が見えなくなるまで見つめていた。
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